彼女を守れるだけ力が欲しいと、強く思った。
僕をとらえたその不安は、やがて緩やかに溶けていき、あとには、明里の柔らかな唇だけが残っていた。
たった1分がものすごく長く感じられ、時間ははっきりとした悪意を持って、僕の上をゆっくりと流れていった。
いったいどれだけの
美しいものや 輝くような気持ち
現実に溢れるそれらを
感じてこなかったんだろう
悲しみはそこここに積もる。
日に干したシーツにも、洗面所の歯ブラシにも、携帯電話の、履歴にも。
巨大すぎる人生が、茫漠とした時間が、どうしようもなく、横たわっていた。
秒速5センチなんだって。
桜の花の落ちるスピード、秒速5センチメートル。
End of Content.
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