瀬川君は一人分の幸せをその手に持っているの。

その幸せを待ち受けている娘がこの世界のどこかにいるの。

だから瀬川君が持っている幸せを、その娘にちゃんと渡してあげないと。

誠人に会って、できれば褒めてほしいの。

良く頑張ったね、えらいね…って。

あの時みたいなやさしい声で。

「ここは渡れないから、むこうから渡った方がいいよ」って。

わたしはあの瞬間に…誠人に恋をしたんだから。

別れはいつだって思いよりも先に来る。

それでもみんな微笑みながら言うの。

さよなら、またいつか会いましょう。

さよなら、またどこかで、って。

私、私に生まれてきて良かった。

ほかの誰でもない。私に生まれてきて良かった。

ひどいのは誠人だよ。

本当の友達なら少しぐらいかばってくれてもいいじゃん。

あの子は変人なんかじゃない！人より少しオリジナルなだけだって！

ねえ誠人。

今のキスに少しは愛はあったかな？

誠人は悪魔だよね。

人を喜ばすだけ喜ばせておいて地獄に突き落とすんだから…

好きな人が好きな人を好きになりたいだけ

キスしたら嬉しくて死んじゃうかも…

誠人が今の私をみたらきっと驚くよ。

きっと後悔するよ。

あの時付き合っておけば良かったって・・・

でもね本当はそんな事どうだっていいの・・・

ただ今は誠人に会いたい・・・